宇宙のことが心配です

好きに色んなことを書きます。日記が中心です。本、映画、漫画、アニメなどで暇を潰す事が多いので、その手の感想も書くかもしれません。

映画「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」の感想

前から気になってたので見た。80/100点。

<あらすじ>

人形使いを捕まえる。

<感想>

テレビアニメの方をちょっと見てたので、話が難しいのと世界観がどんなものかくらいは知っていた。ただ、それでも駆け引きや探り合いが難しくて、所々ハテナだった。そもそも言ってることがもはや日常会話っぽくない。借りたDVDに、日本語版なのに何故か字幕が付いてて、直すのもめんどくさくてそのまま見たのだが、これが案外役に立った。言ってることが微妙に違ってたりもしたのだが、文字にして見てると話についていく助けにはなった。

都会なんだけど妙にごちゃごちゃした下町があるような独特な街の風景は凄かったので、見入ってしまった。音楽も世界観に合ってて、良かった。

ラストのネットの世界にダイブするってどういうことなのかよく分からないが、絵が見応えあって、なんかかっこよかったので、面白かった。

映画「インセプション」の感想

映画「インセプション」を見たので、その感想。75/100点。

<あらすじ>

夢の中に飛び込んで、他人の脳味噌に考えを埋め込もうとする。それは危険なので、色々と頑張るという話。

<感想>

夢の中に飛び込んだりする話は、夢の中にいるときの映像の面白さが一つ見所だと思うが、それに関してはけっこうすごくて、楽しかった。

ただ、夢の世界に関して色々とルールがあって、それを把握するのが小難しくて面倒くさいし、そのルールで納得できないと思うところもあって、それで見終わった後もどうにも煮え切らない感覚が残った。自分の中でそういう煮え切らないことがけっこう浮かんできてしまって、あんまり話に納得ができないので、点数が低くなった。ルールを説明するためのシーンが多いのもちょっとたるい。

あと、これは難癖に近いが、俳優の個性が妙にバラバラでまとまりがない気がして、変な感じがした。ディカプリオが個性強すぎて、全然普通の人って感じがしないのも気になってしまった。

ただ、夢のルールを含めて、よく考えられてる話だとは思った。それだけはすごいと思った。

本「12の遍歴の物語」の感想

「12の遍歴の物語」は、ガルシア・マルケスの短編集。この前、同作者の「百年の孤独」を読んで、あんまり面白くなかったので、やっぱりこの人の小説は短編の方が良いのではないかと思い、この本を読んでみようと思った。やる事もないが、ぼんやりしてるのも虚無感でしんどいというときに、ぐだぐだと読んでいった。ところが、始めはぐだぐだ読んでくのだが、段々面白くなってくるから、すごい。話にどんな背景があって書かれてるのかとかそんなことは、正直よくわからないのだが、語り口が心地よくて、引き込まれてしまう。淡々と書かれていて、独特な語りなのだが、何でか良いなと思ってしまう。単純に文章が上手いということだろうか。

始めに作者の言葉があり、この作品のタイトルの所以、何故遍歴なのか?について、説明がある。それで、12個の話がある。一番最初の話は、よく分からなかった。大統領が亡命してきて・・みたいな話なのだが、馴染みがなさ過ぎて、どういうことか分からなかった。他の話はついていけた。何でこういう物語を書いたのだろうかということまで、想像できたのは、光の水という短い話だけだ。それ以外は何でこんな話なんだろうかという疑問は残ったままだ。でも、話は不思議と面白かったので、また別の小説も読んでみたいと思う。

映画「ザ・セル」の感想

映画「ザ・セル」を見た。90/100点。

<あらすじ>

女性が行方不明になり、死体で発見されるという事件が連続で起きていて、捜査が進められていた。また一人女性が行方不明になっている中で、ある日、犯人の男が逮捕されるが、その男は精神的に異常をきたしており、意識が無かった。そのため、捜査員は行方不明の女性の居場所を聞き出したいが、それができない。そこで、人の意識の中へ入り込むことができるという病院へ、犯人を担ぎ込むが・・・

<感想>

連続殺人が関わってくるだけあって、この映画にはショッキングな場面がけっこう出てきて、それは見ていてしんどかった。羊たちの沈黙みたいな気持ち悪さとでもいうか。拷問の場面とかもあって、こういうのはあまり趣味じゃないので、かなり嫌だった。

ただ、女性が監禁されていて、早く犯人から居場所を突き止めないといけないという緊迫感がなんだかんだ面白いので、気持ち悪いといって切り捨てることもできない。犯罪に関して考えさせる場面もあって、単純なエンターテイメントに留まらないのもよかった。

この犯人の男の意識に飛び込むことになるのは女性なのだが、この人はある意味、ヤバい人だ。人のために命がかけられるというようなそういうヒーロー的な凄さがある人で、ある意味で異質な人だ。映画の始めの方で、嫌というほどこの連続殺人犯の頭のおかしさを見せられた身としては、この男の頭の中へ飛び込むという話になった段階で、「それはやめたほうがいい」と思わざるを得ない。勿論、人命がかかっているというのがあって、飛び込むことになるのだが、それでもその勇気は凄いと思わざるをえない。このヒロイズムがまた映画の面白さにひと役買っていて、物語の救いにもなってると思う。

人間の意識の世界を表現する映像の方もかなり見応えがあった。人間の意識とか夢とかを映像にするというのは珍しくはないけど、この映画の映像は独特で面白いと思う。挑戦的な演出もあった。監督がインドと関わりがあると聞けば、なんか納得もできる。この監督の「ザ・フォール落下の王国」もどこかで見てみたいと思っている。

本「モモ」の感想

本「モモ」を読んだので、その感想を書こうと思う。読みやすい本だなあと思っていたら、途中で対象年齢が小学5,6年生以上と書いてあるのに気づいて、まあそうだろうと納得した。読みやすいせいで、つい流し読みで読んでしまったが、そんな読み方でも大体の話はわかって、楽しめる。

時間どろぼうが事件を引き起こす前と、事件を起こして大変なことになるあたりが一番面白くて、引き込まれたが、事件が解決するところはけっこうあっさり解決したので、期待がしぼんでしまった感じ。でもそれは児童小説らしさでもあったので、あんまり突っ込むのもヤボな気がする。ので、あんまり突っ込まない。

個人的には、単なる面白い物語に留まらず、現代人の抱える問題を時間という観点から描いてもいて、深みがあったので、楽しめた。不思議の国のアリスみたいな遊びがあるのも、良かった。なので、児童小説に大人が感じてしまうちょっと物足りない感じもあったが、それはそれとして、普通に良かった。

映画「アダプテーション」の感想

映画「アダプテーション」を見たので、その感想。80/100点

<あらすじ>

主人公チャーリーカウフマンは、ユリについて書かれた原作をもとに新たな脚本に取り組んでいるところだった。が、その原作がいわゆる映画的な要素に欠けるものだったので、脚本化に行き詰まってしまう。そんなこんなで、色々悩んだ末に・・・

<感想>

チャーリーカウフマンの映画が見たかったので見ただけなのだが、まあ、普通に面白かった。

映画は、脚本化に悩む現実の世界とその脚本が映画になった場合のイメージ映像とが交互に流れる形で進んでゆく。なので、始めは話が切り替わるせいで、よく分からなくなるけど、この段階で早くもチャーリーカウフマンっぽいなという感じ。

ラストになって、現実と頭の中の世界とがおかしなことになってくる。見た結果としては、面白かったのだが、同じチャーリーカウフマンの「脳内ニューヨーク」「エターナルサンシャイン」「マルコヴィッチの穴」に比べると、そこまでではなかった。というのも、この映画は、映画を作ることの苦悩に焦点をあてた映画であって、テーマがけっこう渋いと思う。他の映画はありふれた人間が主人公のドラマで感情移入もできるのだが、この映画はそういう意味であまり感じ入るものが無かった。だから、そこまででは無かったが、まあ、全体的コミカルで楽しめたので、面白くはあった。

映画「未来世紀ブラジル」の感想

映画「未来世紀ブラジル」を見た。80/100点

<あらすじ>

厳しく統制された未来のどこかの国が舞台。書類の打ち間違いにより間違った人間が連行処刑されてから、サムという男の運命もおかしな方向へ。

<感想>

厳しく統制された社会ということだが、物語がブラックなギャグで進んでいくので、ディストピア的な恐ろしい感じはあんまり無かった。最後なんて、残虐な終わり方をしているというのに、どこか滑稽さもあって、全体的に妙な雰囲気だったので、変わった映画だなと思った。

正直、途中までは、あんま面白くないと思った。でも途中で、これ、ギャグなんだということがわかってきて、そうするとこの監督がやろうとしてることがなんとなく見えた気がして、そこからは面白かった。

人がロボットみたいに動くさまを見てると、チャップリンが連想で浮かんできた。どこか無声映画みたいにアクションが大げさに見える。チャップリンが好きなら、これも好きなんじゃないだろうか。ブラックユーモアの世界だ。

テリーギリアムの映画で、ドン・キホーテのやつがあるので、それが見たいと思っているのだが、どこにも置いてなくて、借りられないでいる。今回、未来世紀ブラジルを見て、この監督がドンキホーテをやるのは、納得できる気がした。どこか妄想めいていた。

万人受けしなさそうなので、カルトっぽいなとも思った。最初は「なんだこれ」となってしまうかもしれないが、慣れてくると面白いと感じられる気がする。まあ、決して悪くは無かった。

映画「ガタカ」の感想

映画「ガタカ」を見た。95/100点

<あらすじ>

遺伝子操作により、可能な限りベストな状態で生まれてくることができるようになった時代の話。

遺伝子操作により生まれてきたものが多くを占める社会で、主人公ヴィンセントは通常の手順を経て生まれた人間だった。

社会的にも肉体的にも不利な状況で、ヴィンセントは宇宙人飛行士になる夢をあきらめられずにいた。

ヴィンセントは遺伝子操作により生まれた優秀な人間であるジェロームという男を装い、宇宙局ガタカに潜入する。

ある日、ヴィンセントは、念願であった宇宙船乗組員として選ばれるが・・・

<感想>

有名な映画で、興味があったのだが、実際見てみたところやっぱり面白かった。

物語はヴィンセントが宇宙人飛行士として選ばれるところから始まる。いきなり選ばれたところから始まるので、それがどういうことなのかこの時点では分からないが、物語が進み、この社会の現実が見えてくると、段々分かってくる。

始めにヴィンセントの半生が語られるのだが、これがなんとも悲しい。遺伝子操作というのは細かくは分からないが、卵子精子が出会うところで恣意的な操作を行うということらしい。この操作を行うことで、例えば先天的に病気を持って生まれることなどはあらかじめ排除できる。また、身長や脳みその出来などまで操作でき、つまり可能な限り最高の状態で生まれるようにできるわけだ。映画内で医者がこう言う。「偶然にまかせるのは性格だけにしておけ。」

もし、そうであればまともな人であれば、遺伝子操作を行うことになるだろう。しかし、ヴィンセントの両親は、そのような操作を行うことを嫌悪し、自然に任せて子供を作ることにする。

ヴィンセントが生まれた時、母親が感極まってこう言う。

「この子は必ず何かをするわ。

でも、ある日、ヴィンセントがある程度大人になってきて、宇宙飛行士になりたいと考えていると、母が今度はこう言う。

「なれるわけないわ」

(宇宙飛行士には遺伝子操作によりもともと優れている人間しかなれる見込みがない)

この辺り、結局科学に従った方が良いに決まっているという現実がすごい伝わってきて、グッときた。

この段階でもすでにけっこう話に引き込まれるのだが、ここからさらに、面白くなっていく。ヴィンセントが、遺伝子的に不利な中で、宇宙飛行士への夢を捨てきれず、不利に抗ってゆく。最後にこう言うシーンは感動する。

「覚えておいてくれ。僕はほんとうに誰にも負けたことがなかった。」

ほんとに今までみたなかでもかなり面白い映画だった。

映画「ワールズエンド酔っ払いは世界を救う!」の感想

映画「ワールズエンド酔っ払いは世界を救う!」を見たので、その感想を書いていこうと思う。85/100点

<あらすじ>

大人になりきれていない男ゲイリーは、4人の幼馴染に会いに行き、学生時代に達成できなかった「5人で一晩にパブ12軒を回る」に再挑戦しようと口説いて回る。

5人は故郷の街に戻って、パブ回りを始めるが・・・街は宇宙人に支配されていた!

<感想>

あらすじを見ただけで、なんかワクワクしてきたので、いつかみようと思っていた作品。けっこう期待が高まってしまっていたので、これは良くないかなと思ったが、それでも面白かった。エドガーライト、サイモンペッグ、ニックフロストの映画は「ショーンオブザデッド」「ホットファズ」「宇宙人ポール」くらいは見ていたが、その中でも1番面白かった気がする。

物語の終わり方は可もなく不可もなく、まあこんなものかという感じだったのだが、そこまでの話はほんとに楽しかった。始めは昔の仲間で飲もうという普通のコメディドラマっぽく始まる。あらすじを読んでない人から見れば、このあと普通にパブ周りして、その中で色んなことがあって、「俺たち、変わったなあ」とか言い合ったりして、ちょっと感動的だったりするんだろうなという印象を持つだろう。宇宙人という単語をあらすじで目にした身からすれば、この辺りは妙に真面目にやってるように見えて、面白かった。

実際、フリとかではなく、そういう昔を懐かしむみたいなちゃんとしたテーマも普通に描こうとしてるみたいだったが、そこが逆にツボではあった。というか、この 映画、テーマはてんこ盛りだ。時の流れとか、アルコール中毒とか、生きていくことについてとか、そんな真面目な話が、ちょいちょい出てくる。さらに、宇宙人との戦闘というアクションも盛りだくさんにある。とにかく映画らしい要素がごちゃごちゃと詰め込まれている映画で、映画好きな人が作ってんなこれ、という感じがいい感じで伝わってくる。

個人的には中盤>序盤>終盤で面白かった。だんだん酔っ払ってくのもアホらしくていい。とにかく、面白かった。

映画「ある日どこかで」の感想

映画「ある日どこかで」を見た。75/100点

昔、どこかのWEBサイトに、カルト映画のくくりで、この映画が挙げられてるのを見て、何となく気になっていた。

<あらすじ>

脚本家?の男が、一昔前の女優の写真を見て心奪われ、タイムスリップして彼女に会いにいく。

<感想>

結論を言えば、あまりカルトっぽくはなかった。カルトというと、万人受けはしないが面白い人には面白いというイメージがあるが、そういう意味では思ってたのとは違っていた。少し癖のある変な映画を内心期待してたので、意外に普通だなという印象に最後は落ち着いた。といっても、カルトにくくられるわけが全く理解できないこともない。変わった映画ではあると思う。

本作では、タイムスリップに機械などのそれっぽい小道具は使用しない。瞑想だけで時を超えてゆく。これはけっこう無理やりな気がしたが、個人的には、機械を使用していたとしてもタイムスリップ自体に別に納得はできないたちなので、そこはまあどっちでもよかった。ああ、タイムスリップしたんだ、と物語に従順な態度で見ていった。

始めにおばあさんが出てきて、主人公に話しかける。主人公からみれば初対面だが、おばあさんにとって彼は昔の恋人というわけだ。そんなバックトゥザ・フューチャー的な仕掛けもあったりする。

SFと恋愛がからむということは別に珍しくはないけど、この映画は恋愛が妙に古風なので、そこは珍しい気がした。この映画にSFという言葉を用いるのにもちょっと違和感があって、だから変わった映画だなという気はする。

個人的にはあんまり古典的なムードが漂う恋愛映画に刺激を感じないたちなので、点数はちょっと低くなってしまった。

映画「脳内ニューヨーク」の感想

映画「脳内ニューヨーク」を見た。100/100点

チャーリーカウフマンの初監督作品で、この人の作品が好きなので、前から見たいと目を付けていた。

<あらすじ>

ケイデンはニューヨークの劇作家。

原因不明の病気を宣告され、嫁と娘には逃げられる散々な人生を送っている。

そんな中、彼は舞台で天才賞を受賞する。

大金と名誉を手にいれた彼は、ニューヨーク自体を再現するという誰も見たことのない大規模な舞台を上演することを思いつくが・・・。

<感想>

チャーリーカウフマンの映画の中でもこの映画はかなり面白かった。それどころか今まで観た中でベスト10に入ると思う。この映画を知らなかったことが残念なほどだ。ただ、引き目で見るとこの映画は万人受けしないと思うので、100点であることはあまり参考にしない方が良いかもしれない。

話は結構ややこしい。人が結構出てくる上に、年を取っていくので誰が誰かもわかりにくい。ちゃんと筋を追っていくためには人の名前をしっかり覚えておかないといけない。わたしも始めとりあえず一回見たのだが、よくわからない所が多かった。そこで何回か巻き戻して見直した。それで初めて話の筋は分かった。

話がややこしくなるのは、ケイデンがニューヨークを再現する舞台を作り始めるところからだ。もっというと、ケイデンとその相方ヘイゼルが、自分自身を役者に演じさせるところからだ。つまり、舞台上で舞台を作成していく様子が描かれるということになる。劇中劇中劇というわけだ。ここからこの状況を楽しむかのようにややこしい場面が続く。例えば、ケイデン役の男がヘイゼルに恋をしてしまった時、ケイデンがこう言う。「おまえ、俺を演じているのなら、ヘイゼル役の方に恋をするべきだろう!」(現実のケイデンはヘイゼルに恋愛感情を持っている)また、ヘイゼル役の女がケイデンに「ヘイゼルだったらこう感じるはずだ」と舞台について意見を言うのだが、それに対して、ヘイゼルが「いや、わたしはそんなこと感じていない!」と言ったり。・・・書いていてもあまり意味が分からないが、まあこんなややこしい話が続くのだ。ケイデン役の男を演じる男が出てきてしまう場面すらある。

途中までみたところで、この話どうなるのかと思う訳であるが、話は予想もできない方向へ流れていく。滅茶苦茶な話かと思いきや、ちゃんと含みを持って、良い話になっていく。最後は、残酷さとユーモアを掛け合わせたような面白い終わり方をする。見終わった後で思ったのは、よくこんな話思いつくなという感想。ほんとにすごいと思った。センスにあふれている。

映画「ロッキー」の感想

映画「ロッキー」を見た。85/100点

結構前に、シルベスター・スタローンの「ランボー」を見て、やっぱり名の通っている映画って面白いということに改めて気づかされ、自分の中で今度は「ロッキー」を見ようということになった。「ロッキー2」「ロッキー3」などの次回作はともかく、シリーズ作品の1だけは見て損はない。そんな基準でTSUTAYAでDVDを選んでいると、まだまだ見ていない名作があるということに気づく。それらの作品は追々見ていくこととしよう。

<あらすじ>

三流ボクサーロッキー・バルボアは本業のボクシングだけでは生活できず、借金の取り立て人を請け負いながら自堕落な生活に甘んじていた。センスはあるのにもかかわらず、そんな生活をしているロッキーにボクシングジムのトレーナにも追い出されてしまう。

そんなある日、ボクシングチャンピオンのアポロ・クリードの対戦相手として無名のロッキーが選ばれる。ロッキーはそこから過酷な練習をこなして、試合に臨むことになるが・・・

<感想>

面白い。

自堕落な人生に甘んじているロッキーが、試合で勝つという目標に向かって過酷な練習にも耐え抜く様は見ていて気持ちがいい。ラストの試合の場面では結末はどうなるのだろうと映画に惹きつけられる。ロッキーという人間は落ちぶれた人間であるとはいえ、(トレーナーに「負け犬の人生だよ!」と言われてしまうシーンはグッとくるものがある)まともに現実を生きている人間だって、夢なんて見ていられないという思いを抱くという意味で夢に破れた存在で、だからどうしたって夢へ向かって努力を始めるロッキーの姿に自分を重ねてしまうことになる。

この話はロッキーが幸運であるというところから始まるのがリアルでいい。チャンピオンと闘うというビッグチャンスが転がり込んできたからこその過酷な努力であって、これくらいのことがなければロッキーは決して自分を変える事はできないだろうと思わせるくらいの現実的な感覚がこの作品にはある。そこがいい。嘘がないから、現実を知ってひねくれたような人間ですら感動させるちからを持っている。

ロッキーはそもそも幸運だったがゆえに、この作品から努力する意味が感じられるとは思わないが、アメリカンドリームをテーマとした傑作映画だと思う。本当に面白かった。

本「百年の孤独」の感想

ガルシア・マルケスの「百年の孤独」を読んだ。

昔、中短編集を読んでから、ガルシア・マルケスって面白いと思っていた。それからいくつか短編集は読んで、いつか名作と言われている「百年の孤独」を読みたいと思っていた。文学ベスト100のような企画で、古典作品を差し置いて、1位になるくらいの評判だ。さぞ面白いだろうと期待が高まっていた。

というわけで実際、読んでみたのだが、やっぱり長い物語だ。登場人物も多く、文章運びも独特なため、精読しないと話がすぐ分からなくなってしまう。そのため、読むのには時間がかかる。途中、何度も挫折しかけたが、何とか読み通せた。終わりになるころにはもう始めの方の話など頭から飛んでしまっていたが。

この物語のすごいのはスケールのでかいことだ。マコンドという村の建設から衰退までが描かれる。村建設時のメンバーであるホセ・アルカディオ・ブエンディアとウルスラ・イグアランから始まり、その息子の話や孫の話など、ブエンディア一族の話が語られる。小説は大抵、主人公に主に焦点が置かれるものだが、この小説は一族全体が描かれる。

実は話の中に矛盾がけっこうあるみたいなのだが、全然分からなかった。実際、何かおかしいと思うときがあったが、話を把握するだけでも骨が折れる状態なので、自分の方がなにか勘違いしているのだろうと思ってしまうだけだった。

ガルシア・マルケスの小説ではよくあることなのだが、死者が幽霊となって出てきたり、女が洗濯中に空へ舞い上がり消えてしまったり、チョコレートを食べることで体を浮かせることができる男が現れたりする。それも特に脈絡もなくいきなりそんな不思議な描写が出てきて、当然のように話が進んでいく。そんなことあるわけないと思いはするのだが、特に理由が説明されるということもなく、こんなことが起きましたという体で語られるので、不思議と騒ぎ立てる気にもならない。これが俗に言われている「語りの妙」というやつかもしれない。

ガルシア・マルケスという人は小さいころに、祖母から物語を聞かされて育ったらしい。それが小説家という職業につながっているとのことだ。そういわれてみると、確かにとそんな感じだと納得できるものがあった。少し違うかもしれないが、ちょっと思ったのは、昔話みたいだということ。昔話って、深く考えていくと意味わからないことが多い。例えば、桃太郎はイヌ・サル・キジを連れていくが、よくよく考えるとなんなのその動物?と言いたくなってくる。でも、話は普通に面白い。百年の孤独もそんなのと似ている気がした。大江健三郎の小説で「M/Tと森のフシギの物語」というのがあるが、これも百年の孤独があって、書かれたものだと思う。帯のところに「あったかなかったかは知らねども、昔のことならば無かったこともあったにして聴かねばならぬ。よいか?」という祖母の言葉がピックアップされている。これは百年の孤独にも似合っている言葉だと思った。昔、マコンドという村があったそうな・・・みたいな感じで語られている小説だと思うと、しっくりくるものがあった。

正直言うと、期待していた割に面白くは無かった。ちょっと期待が大きすぎたかもしれない。長いと思ったし。でも、やっぱりこれだけのスケールで物語を書くのはすごいとは思った。なので、まあ今回読んでみて、良かったと思う。

本「愛するということ」の感想

エーリッヒ・フロムの「愛するということ」を読んだ。いや、ほんとうを言うとあんまりちゃんと読んでいない。途中の所はかなり流し読みして、ほとんど頭に入っていない。というのも、けっこう始めの辺りからすでに、書いてあることにあまり賛同できていなかった。そのせいで、あまりちゃんと読もうという姿勢がないまま、惰性で読んでしまった。

まず、第一章で、愛は技術であるということが語られる。わたしたちは愛に関心を持ちながらも、それについて学ぶことがあるとはあまり思っていない。このような話から始まる。そこから、第二章「愛の理論」、第三章「愛と現代西洋社会における崩壊」、第四章「愛の習練」と続く。

聖書の引用を基に考察することが多い印象だが、聖書から話を始められると、不信感があって、入り込めなかった。単に話を進めるために聖書が出てきているだけだとしても、どうも駄目だった。

あとはフロイトに対する反論もよく出てきた。これについては、確かにフロイトの言っていることは無理があるように思えたので、納得できた。しかし、フロイトに対して、筆者が展開する理論も、別に理解はできなかった。例えば、父親と母親は子供にとってそれぞれどんな役割があるかなどの理論が展開されるが、どれももっともらしい気はするが、例外もあるんじゃないかという疑いは出てくる。また、こういう男はこんな性格で、だから・・のような話もたくさん出てきて、これは正直、ただの偏見な気がして嫌気がさした。勿論、フロイトの意見よりはまともだとは思うが、これはこれで何の根拠もない。基本的に哲学的な話なので、正しさというよりは考え方の問題なのかもしれないが。

神に対する愛が語られるところは、もはや全く頭に入ってこなかった。ただ、ページを惰性でめくっているだけだった。基本的に神に対する信仰の習慣が無いので、その手の話題は厳しい。

第4章の「愛の習練」では愛の理論を踏まえて愛を習練する方法について語られる。しかし、語られる方法はどれも効果があるのかどうかよくわからないことばかりだ。全然、納得できなかった。

筆者は社会の中の愛について言及して、現在の社会では愛は厳しい立場にあると言っている。というより、読んだ印象ではほとんど無理なような気がしてくる。そして最後には、愛の成立しない社会など崩壊するに決まっているのだから、愛の発達を阻害するような社会の条件は批判していく必要があると言っている。これには納得だが、読み終えた後、もしそうならば、この愛の哲学も所詮今の社会では理想的過ぎて、実現不可能なのでは?と思ってしまった。実際、読んでいるときから、少し思っていたのだ。この本で言っていることは正しいかもしれないが、これを実現するだけの意志が継続できるだろうか?と。でもまあ、できるかもしれないので、そこは難しいところだが。

とにかく、この本にはあまり集中できなかった。というより最近、本に集中できない。読む気がないのに強迫観念に駆られて読んでいるから苦しくもある。ただ、この本を読んで、愛は意志的なものであるという主張が芯を食っているように感じて、考えを改めることにもなったから、良しとしよう。

映画「ブレードランナー」の感想

映画ブレードランナーを見た。

昔、原作である「電気羊はアンドロイドの夢を見るか」を読んで、面白かったので、本映画には興味があった。

本映画に点数を付けるとしたら、75/100点くらいだろうか。

 

<あらすじ>

近未来の話。

地球は環境破壊により、住むべき場所ではなくなっている。そのため、人々の大半は別の星へ移住している。

そして、新たな星の開拓のために、レプリカントが過酷な労働に従事している。

レプリカントというのは精巧に作られたロボット?であり、その最新式であるNexus6型は知能が高く、あまりに精巧なため、ほとんど、人間と区別がつかない。

そのレプリカントが労働を逃れるため、別の星から地球へと逃亡してくる。

主人公デッガードは逃亡してきたレプリカントを討伐することになる。

 

<感想>

原作を読んで、本物と人工的なものの判別がつかなくなってくるところが面白かったのだが、映画ではあまりその面白さは感じられなかった。

例えば、Nexus6型のレプリカントとして、ある女が出てくるのだが、この女は自分がレプリカントだと気づいていない。主人公は判別のため、彼女をテストするのだが、その時も彼女は本気で自分が本物の人間であると主張する。小説ではこのくだりで、読者を騙す仕掛けがあって面白いのだが、映画ではけっこうあっさりしていた。この辺りが、期待してただけに、残念だった。

さらに、小説では、主人公が自分の方が実はレプリカントなのではないかと疑い出すという場面もあったりして、結局本物と人工的なものの境界ってどこにあるんだ?という哲学的な話にもなってくる。これも映画では、感じられなくて残念だった。ただ、じゃあ小説のこれらの要素を映画でも表現できたかといわれると、それも厳しいかなと思うので、仕方がないという感じはした。

面白かったところもある。近未来の街のイメージはよくできていて、いいなと思った。高層ビルが立ち並ぶ都会なんだけど、どこか荒廃しているような近未来のイメージ。この映画はそういうイメージの草分けでもあるらしく、そう思ってみると感慨深いものもあった。ところどころで日本も登場する。日本人の店員が日本語喋ってたり、看板に日本語を崩したような文字が書かれていたりする。街のイメージとして、歌舞伎町を参考にしたらしく、どうやらそのつながりらしい。

こういう見どころはあったので、見て損ってことはなかった。まあ、普通に良かった。けど、原作読んでたので、期待を下回った感は否めない。ので、75点。

あと、もう一つ気になる点。これは考えすぎで、面倒くさい話になる。個人的にロボットなのに感情があるというのが、ちょっと想像しにくい。百歩譲って、感情も脳みそのなんらかの働きだとして、それを再現することができると考えれば、納得できなくもない。だが、そうなると、他の生き物に対する共感というのも再現できてしまいそうな気がしてしまう。(原作では、レプリカントと人間の境界は、共感できるか否かにあるということだった)つまり、感情まで再現できるほど、人間に近づけるのであれば、もう差は完全に無い気がしてしまう。感情を再現できて、それでも人間と違うということがどういうことなのか、想像がうまくできない。そこが、原作も含めて気になってしまうところ。かなりどうでもいいが。