映画「ガタカ」の感想
映画「ガタカ」を見た。95/100点
<あらすじ>
遺伝子操作により、可能な限りベストな状態で生まれてくることができるようになった時代の話。
遺伝子操作により生まれてきたものが多くを占める社会で、主人公ヴィンセントは通常の手順を経て生まれた人間だった。
社会的にも肉体的にも不利な状況で、ヴィンセントは宇宙人飛行士になる夢をあきらめられずにいた。
ヴィンセントは遺伝子操作により生まれた優秀な人間であるジェロームという男を装い、宇宙局ガタカに潜入する。
ある日、ヴィンセントは、念願であった宇宙船乗組員として選ばれるが・・・
<感想>
有名な映画で、興味があったのだが、実際見てみたところやっぱり面白かった。
物語はヴィンセントが宇宙人飛行士として選ばれるところから始まる。いきなり選ばれたところから始まるので、それがどういうことなのかこの時点では分からないが、物語が進み、この社会の現実が見えてくると、段々分かってくる。
始めにヴィンセントの半生が語られるのだが、これがなんとも悲しい。遺伝子操作というのは細かくは分からないが、卵子と精子が出会うところで恣意的な操作を行うということらしい。この操作を行うことで、例えば先天的に病気を持って生まれることなどはあらかじめ排除できる。また、身長や脳みその出来などまで操作でき、つまり可能な限り最高の状態で生まれるようにできるわけだ。映画内で医者がこう言う。「偶然にまかせるのは性格だけにしておけ。」
もし、そうであればまともな人であれば、遺伝子操作を行うことになるだろう。しかし、ヴィンセントの両親は、そのような操作を行うことを嫌悪し、自然に任せて子供を作ることにする。
ヴィンセントが生まれた時、母親が感極まってこう言う。
「この子は必ず何かをするわ。」
でも、ある日、ヴィンセントがある程度大人になってきて、宇宙飛行士になりたいと考えていると、母が今度はこう言う。
「なれるわけないわ」
(宇宙飛行士には遺伝子操作によりもともと優れている人間しかなれる見込みがない)
この辺り、結局科学に従った方が良いに決まっているという現実がすごい伝わってきて、グッときた。
この段階でもすでにけっこう話に引き込まれるのだが、ここからさらに、面白くなっていく。ヴィンセントが、遺伝子的に不利な中で、宇宙飛行士への夢を捨てきれず、不利に抗ってゆく。最後にこう言うシーンは感動する。
「覚えておいてくれ。僕はほんとうに誰にも負けたことがなかった。」
ほんとに今までみたなかでもかなり面白い映画だった。