宇宙のことが心配です

好きに色んなことを書きます。日記が中心です。本、映画、漫画、アニメなどで暇を潰す事が多いので、その手の感想も書くかもしれません。

本「百年の孤独」の感想

ガルシア・マルケスの「百年の孤独」を読んだ。

昔、中短編集を読んでから、ガルシア・マルケスって面白いと思っていた。それからいくつか短編集は読んで、いつか名作と言われている「百年の孤独」を読みたいと思っていた。文学ベスト100のような企画で、古典作品を差し置いて、1位になるくらいの評判だ。さぞ面白いだろうと期待が高まっていた。

というわけで実際、読んでみたのだが、やっぱり長い物語だ。登場人物も多く、文章運びも独特なため、精読しないと話がすぐ分からなくなってしまう。そのため、読むのには時間がかかる。途中、何度も挫折しかけたが、何とか読み通せた。終わりになるころにはもう始めの方の話など頭から飛んでしまっていたが。

この物語のすごいのはスケールのでかいことだ。マコンドという村の建設から衰退までが描かれる。村建設時のメンバーであるホセ・アルカディオ・ブエンディアとウルスラ・イグアランから始まり、その息子の話や孫の話など、ブエンディア一族の話が語られる。小説は大抵、主人公に主に焦点が置かれるものだが、この小説は一族全体が描かれる。

実は話の中に矛盾がけっこうあるみたいなのだが、全然分からなかった。実際、何かおかしいと思うときがあったが、話を把握するだけでも骨が折れる状態なので、自分の方がなにか勘違いしているのだろうと思ってしまうだけだった。

ガルシア・マルケスの小説ではよくあることなのだが、死者が幽霊となって出てきたり、女が洗濯中に空へ舞い上がり消えてしまったり、チョコレートを食べることで体を浮かせることができる男が現れたりする。それも特に脈絡もなくいきなりそんな不思議な描写が出てきて、当然のように話が進んでいく。そんなことあるわけないと思いはするのだが、特に理由が説明されるということもなく、こんなことが起きましたという体で語られるので、不思議と騒ぎ立てる気にもならない。これが俗に言われている「語りの妙」というやつかもしれない。

ガルシア・マルケスという人は小さいころに、祖母から物語を聞かされて育ったらしい。それが小説家という職業につながっているとのことだ。そういわれてみると、確かにとそんな感じだと納得できるものがあった。少し違うかもしれないが、ちょっと思ったのは、昔話みたいだということ。昔話って、深く考えていくと意味わからないことが多い。例えば、桃太郎はイヌ・サル・キジを連れていくが、よくよく考えるとなんなのその動物?と言いたくなってくる。でも、話は普通に面白い。百年の孤独もそんなのと似ている気がした。大江健三郎の小説で「M/Tと森のフシギの物語」というのがあるが、これも百年の孤独があって、書かれたものだと思う。帯のところに「あったかなかったかは知らねども、昔のことならば無かったこともあったにして聴かねばならぬ。よいか?」という祖母の言葉がピックアップされている。これは百年の孤独にも似合っている言葉だと思った。昔、マコンドという村があったそうな・・・みたいな感じで語られている小説だと思うと、しっくりくるものがあった。

正直言うと、期待していた割に面白くは無かった。ちょっと期待が大きすぎたかもしれない。長いと思ったし。でも、やっぱりこれだけのスケールで物語を書くのはすごいとは思った。なので、まあ今回読んでみて、良かったと思う。