「MIFUNE」をみた
ネタバレ無し
三船敏郎について特集した映画(?)
七人の侍とか用心棒とかを、昔見たときには、三船敏郎をそこまですごいとは思わなかった。でも、最近になって、段々、魅力が分かってきた気がする。例えば、用心棒の主役を、今の役者が演じるところを想像してみると分かる。すると、とてもじゃないけど、三船敏郎のあの迫力を出せる人はいないと気づくのだ。
用心棒や椿三十郎の主人公は、頭がよく、世慣れしており、剣の名人である。いわば、スーパーヒーローである。そんな人間は、おそらくいない。映画の中だけの存在だ。そういう人間を演じて、見る側に違和感を抱かせないというのは、これはもうすごいことだ。僕は、何気なく、用心棒を見てしまうが、この何気なく見れてしまうということがもうすでにすごいことなのだ。他の役者では、きっと、どこか物足りないと思ってしまうだろう。
しかも、さらにすごいのは、現実の役者としての三船敏郎も、実際に、そんなスーパーヒーロー並みの才能の持ち主ではないかと想像させるところなのだ。彼が、どんな人間なのか勿論知らないのだが、見ていると、どことなく知性を感じさせるし、激しい感情や荒っぽさも同時にその奥底に持っているような気がするのだ。それに、声もかっこいいし、運動神経も抜群ときている。これは、やっぱり、かっこいいといわざるを得ない。
この映画(?)は、期待していたより、三船敏郎の人柄に迫っているとは感じられなかった。しかし、面白いことは面白い。ただ、ちょっとこちらの期待がでかくなってしまっていたかなと思う。こういう企画は始めから、色々と制約や限界があると思うから、これでも十分という気がした。