宇宙のことが心配です

好きに色んなことを書きます。日記が中心です。本、映画、漫画、アニメなどで暇を潰す事が多いので、その手の感想も書くかもしれません。

映画「戸田家の兄妹」をみた

 

ネタバレ無し・あらすじのみ

 

テーマ的には「東京物語」へつながる作品らしい。見たら、なるほど、と納得できた。話は、父が死んだ後、家が無くなってしまった母と娘が、親戚を頼って居候させてもらうのだが、結局、うまくいかずに家を出てしまうというもの。親戚間でも、お互いのエゴがあるために、折り合いが合わなくなるという人間関係の現実を描いている。

 

大人になると、みんなそれぞれの生き方が確立してくるから、なかなか折り合いがつかなくなる。あまり連絡を取り合っていない兄弟や親子だって、たぶん珍しくないだろう。この映画は、現実を少し大げさに描いてないか、と思う気持ちもあるにはある。しかし、一方で、自分の人生を振り返ってみると、こんなことが日常に確かに存在することにも思い当たる。この世には悪人もいるだろうが、多くの人はどちらかといえば善人に含まれるはずだ。小津安二郎が描いているのは、そういう善人のエゴなのだ。だから、当てはまる人が多くて、えげつないのだ。「東京物語」を見て、現実を直視させられ、暗い気持ちになる人もいるだろう。

 

この映画は普通に面白いのだが、同監督の娘の結婚に関するドラマと比べると、娯楽性には欠けるかと思う。一応ラストは明るい終わり方になっているが、全体的に嫌な現実を描いているから、総合的にはあまり楽しくはない。同じようなテーマの作品を見たければ、やはり「東京物語」の方がいい。「東京物語」は、同じような現実を描きつつも、それほど視聴者を嫌な気にはさせない。