宇宙のことが心配です

好きに色んなことを書きます。日記が中心です。本、映画、漫画、アニメなどで暇を潰す事が多いので、その手の感想も書くかもしれません。

小説「フライデーあるいは太平洋の冥界」を読んだ

 

ネタバレ無し

 

これは「ロビンソン・クルーソー」をトゥルニエが再構築した作品。

 

これを読んだとき、ロビンソン・クルーソーを読んだことがなかった。ほんとは元の話を読んでからこれを読むべきではないかと思ったが、そこまでする気力はなかった。タイトルのフライデーが人名であるということすらも知らなかった。寧ろ、これを読んで、逆にロビンソン・クルーソーという小説を想像してみるくらいだった。

 

そんなわけで、もともとの話とトゥルニエの話とで、違う所と同じところが分からなかった。ただ、ラストが変わっていることだけは、ネットでいろいろ調べてみて、わかった。

 

これを読んで初めて知ったのだが、このロビンソン・クルーソー無人島漂流という形式を使って、いろんな人が作品を書いているらしい。考えてみれば、この形式は、人間の真実を描くにはもってこいだろう。無人島でどんなことが起きるかを描くことで、その人の人間観が表現されるわけだ。

 

トゥルニエロビンソン・クルーソーは、かなり哲学的だった。難しい分、ひとりになった人間について徹底的に考察されていて、読みごたえがあった。ただ、難しくて、意味が分からないところも多々あった。途中、認識に関する考察が出てきて、そこはもうさっぱりわからなかった。どんなに精読してもだめなときは、悔しい気持ちがした。

 

簡単なことを哲学的に表現するので、文章も分かりにくかった。まあ、それで面白い表現もあったりしたから、完全に嫌だとは言い切れないが。

 

そんなこんなで、読む気力がなくなるときも結構あった。特に、最初の方は、ずっと一人で行動しているだけなので、退屈だ。フライデーが登場してからは、少しはましだ。一番よかったのは、ラストだ。最後の方は結構、すらすら読めた。

 

面白かったのだが、もう哲学的な小説は、しばらく読みたくないと思った。