自作詩「彼らの背中」
サラリーマンが歩いている
学生が歩いている
主婦が歩いている
老人が歩いている
ありとあらゆる人が
私の前を歩いている
私は彼らの
背中ばかりを見て、育ってきた
彼らは振り向かないし、
私も振り向かない
ありとあらゆる人が
まっすぐに、重なりながら、
歩いてゆく
彼らの顔を、私は
一度も見たことがない
背中ばかりが、私には
抱えきれないほどあり
私はそれを必死に憎むことで
結果的には歩かされてきたのだ
何ということはない
私だって、一度たりとも
振り向いたことなどないのだ