映画「そして人生はつづく」を見た
ネタバレ無し・あらすじのみ
アッバス・キアロスタミ監督の作品は、見ることに決めた。アマゾンにあるものはすべて見るつもりだ。
あらすじといっても、話はほとんど無い。監督とその息子が二人で、自分の映画に出演してくれた子役の子に、会いに行くというもの。なぜ、会いに行くかと言うと、地震があったから。その地震のせいで、大勢の死傷者が出ており、子役の子の安否が心配になったというわけだ。
監督と息子は、車で会いに行く。道が分からないので、いちいち止まって、周りの人に道を聞く。その中で、地震の被害についても、聞いていく。そうやって、地震や地震の被害にあった人々について描きながら、映画は進んでいく。
道を聞いたとき、ほとんどみんなが「あの町に行きたいんですか?いや、この道じゃとてもいけないよ。この先がとても通れる状態じゃないんだ。」などと否定的な意見を言う。それに対して、監督は「そうか。ありがとう。まあ、試しにいってみるよ。」と返す。このお決まりのやりとりをずっとみていると、この映画が、車の旅を人生と重ねたいのだと気づく。未来にはそもそも何一つ確かなものなど無いが、それでもとりあえず行ってみようという監督の姿勢は、そのまま人生に対する姿勢なんだろうと思えてくる。
実際、周りの人が色々と否定的な見解を示しているにも関わらず、意外と車は進むことができるのだ。結局、みんな何もわかっていないということが分かる。たぶん、現代の日本だったらこんなことはないだろう。現代の日本なら、ナビとか携帯とか、情報は共有できるはずだ。聞く必要すらない。だが、この映画では、そうではない。
俳優の動きやセリフが自然で何気ないのは、あいかわらずで、とてもいい。ほとんどドキュメンタリーといえるほどだ。ラストシーンは素晴らしい。旅における一つ一つの振る舞いを描きながら、それがそのまま人生を描くことにつながっている。これは、ほんとにすごい映画だ。