「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」
前にも見たことがあるのだが、その時は退屈になって視聴を中止した。
この度、アマゾンプライムでピックアップされているのを見かけ、再び興味が湧いた。
結果から言えば、そんなには面白くなかった。
途中で見るのを止めてしまいたい衝動に駆られた。
でも最後まで観た。
主人公は昔、バードマンという役で大ヒットを飛ばした俳優で、街を歩けばサインをねだられるような有名人。
しかし、現在は落ち目である。そして、演劇に挑戦している。
自分のすべてをかけて、その劇に挑むのだが、色々と上手くいかない。
果たして、もう一度、夢をつかむことはできるのか。
みたいな話。
何で面白くなかったか。
僕の理解が及ばないせいかもしれない。
詳しい解説を聞けば面白さがUPするのかもしれない。
しかし、ただ見ただけで湧いてくる感想をいえば、そこまで面白くない。
一つには、落ち目であるがゆえの悲しみとか辛さがあまり伝わってこなかったからというのがあると思う。
家族から愛想をつかされたり、葛藤したりするシーンは確かにあるのだが、不思議と心に刺さるものはない。
この映画はどうやらブラックコメディらしいのだが、そのコミカルさによって、苦しみがマイルドなものに見えるのかもしれない。
このコメディというのが、面白くなかったもう一つの理由なのだが、それについては後に書こう。
僕がこの映画を見て、その対比として思い浮かべたのが、ロッキーという映画だ。
ロッキーに感動があったのは、やっぱり落ち目であることの孤独や苦しみをリアルに描いてみせたからだと思う。
僕はバードマンと言うこの映画を見て、知らないうちに、ロッキーくらいの苦しみが描かれていると期待をしていたようだ。
しかし、この映画では勿論苦悩は描かれているものの、あまり伝わってこなかった。
何故だろうか。
印象的なセリフやシーンが無かったからかもしれない。
そうして、なまじロッキーという超名作映画を基準にしてしまったばかりに、この映画にはあっさり期待を躱されてしまったような味気ない気分になってしまった。
二つ目の理由。
この映画はブラックコメディらしいのだが、それがあまり分からなかったということ。
全体的に暗い感じが漂っているし、コメディの要素は、あまり分かりやすく外出していなかったように思う。
海外の文化からすると、読み取れる面白さがあるのかもしれない。
しかし、どうにも自分には難しかった。
勿論、これは狙ってるなと分かるシーンもあるのだが、それもそこまで面白いほどではない。
爆笑など勿論しないし、せいぜい何やってんだと突っ込みを入れるくらい。
笑いはしない。
笑えもしないし、かといって夢に向かって努力する男のドラマとしては本格度に欠ける。
うーん。
シニカルなコメディと人間ドラマが組み合わさって、独特な雰囲気が出ているのは感じる。
でも、それもそこまで刺激的ではない。
時々入る、映画ならではの現実離れした描写にもそこまで面白さが感じられなかった。同様に、最後のシーンもあまり好きになれなかった。
総括。
この映画は期待してたものと違った感があった。
評価の高い作品は、基本的に面白いと感じられるタイプなのだが、珍しく面白く思えなかった。