宇宙のことが心配です

書きたいことを書きます。現在、無職。精神療養中。

最近見た映画の感想

春になり、気持ちのいい日が増えてきた。夕方、窓を開けて、風に当たっていると心地よく、ここがハワイであるような気がしてくる。そこから、さらにハワイであるとあえて思い込むことでいい気分にも浸れる。夏と冬は色々疲れることもあるが、春はやはり心が休まる。

さて、最近見た映画の感想を書こうと思う。何個か見ているのだが、もう一個一個感想をちゃんと書くのは面倒なので、まとめて書こうと思う。それに、そこまで深い感想がある訳でもないので。

最近は、日本の昔の映画に凝っている。アマゾンで無料で見れるものばかりを見ている。

麦秋小津安二郎

麦秋

麦秋

  • メディア: Prime Video
 

原節子笠智衆など同じ俳優が何度も出てくるのが、面白く思える。

慣習に従うのではなく、自分で考えて嫁ぎ先を選ぼうとするのが、現代っぽい気がした。今では親が相手を決めるなんてことは少ないだろうが、当時、自分なりの考え方で生きようとするのは、かなりロックな姿勢ではないだろうか。周囲に相談もせず、結婚相手を決めた娘に対して、母が「のんきな子」と呟くのが印象に残った。直接怒ったりするのではなく、裏で、心底嫌だという言うように、ぼそっと不満を表明するのがリアルだった。

晩春(小津安二郎

晩春

晩春

  • メディア: Prime Video
 

 父が心配で結婚できない娘なんているのかと半信半疑になるが、そのせいか、見ていると、結婚しない理由は本当に父が心配だからなのだろうかという疑いもわいてくる。何か奥底には複雑な思いもあるのだが、それが表現できないゆえに、ひどく単純でわかりやすいことを口にしているようにも見えるのだ。何か家族間でも言えない気持ちというのが裏にあるんではないかと感じさせるような単純には割り切れな深い雰囲気を持っていると思う。それと、やっぱり嫁ぐ場面はきれいだと思う。

お茶漬けの味(小津安二郎

お茶漬けの味

お茶漬けの味

  • メディア: Prime Video
 

 最後の場面、夫が帰ってくるのが、飛行機の欠航という偶然であるというのが、いいなと思った。仲直りがその偶然によってなされるということに、何か深さを感じる。あれだけ不満を抱えていた奥さんが一転して夫と仲良くなるというのは、普通に考えたら、変じゃないかと言われかねない気がする。しかしこの映画ではそれがあまり気にならない。奥さんの気変わりが違和感なく受け入れられるのだ。たぶん、そういう風に、思い詰めていたのに、いったい何に悩んでたんだろうっていうくらいに気が変わってしまうことってあるよなと思えてしまうからなのだろう。この辺りは、すごいうまいと思った。すごく自然だし、それでいて解決の喜びも感じられる。良い。

風の中の雌鶏(小津安二郎

風の中の牝鷄

風の中の牝鷄

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 調べたところ、あまり評価が高くない作品のようだ。それを知っていたからというわけではないのだが、あまり印象には残らなかった。なぜ印象が薄いのかは、よくわからない。深刻で暗いからという気もするが、しかし、実際そこまで暗くもない気がする。寧ろとことん暗ければ逆に印象的だったかもしれない。奥さんが売春という過ちを犯してしまうことから夫婦に苦悩が始まるという話なのだが、最終的に、もう耐えて、許すしかないとなるのも、まあそれしかないよねとこちらでも納得するのだが、それが想定内な感じがして、面白みがないかもしれない。面白さや結婚について考えさせるという点では、麦秋、晩春、お茶漬けの味の方が、よかった。

一人息子(小津安二郎

一人息子

一人息子

  • メディア: Prime Video
 

 父ありきは父と子の関係を描いていた。父ありきでは父はひたすら人格的で優しく、子は父を慕っていた。この映画は、母と子を描いている。しかし、父ありきと対照的というわけではなく、母は時に厳しい。母が、大人になって都会で働いている息子を訪ねるのは、東京物語を思わせる。母は、息子の出世にどうしても期待してしまうのだが、息子は都会で働くことの厳しい現実を説明する。しかし、母はそんな息子を、それでもやはりお前は頑張りが足りないと叱責する。個人的に、この辺りは息子の方に同情してしまった。母も貧乏な人生を送ってきたのだから、その辺りの現実の厳しさは分かりそうなものなのにと。しかしそれだけ母は息子の出世を期待してきたのだろう。息子は、奥さんにだけ「本当は母さんに出てきてもらいたくなかった」と本音をこぼす。そして、息子は最後には、もう一度頑張ってみようと思う。母は、故郷へ帰って「息子は立派で、私は幸せだよ」と同僚に話す。このあたりのドラマの良さは流石といったところで、見終わってからは、良い映画を見たという充実感があった。

幕末太陽伝(川島雄三

幕末太陽傳 デジタル修復版

幕末太陽傳 デジタル修復版

  • メディア: Prime Video
 

 アマゾンプライムでやたらお勧めされてたので、予告を何気なく見たら、何やら名作らしいと知り、それからしばらく見たいという気持ちを温めていた。

コメディ映画である。落語を参考にもしているらしい。そういわれれば、そうかもと思う。たまに落語っぽいおバカな展開がある。

映画は主人公以外の話もあって、同時に進行していく。始めの方は主人公がたまに映る程度で、登場人物がわっと大勢出てくるので、何が中心になっているのか、よく分からなくなった。しかし、それでも感覚でなんとなく分かるので、問題はないが。

小さな話がいくつもテンポよく展開していくのだが、この一つ一つが観客の予想を裏切ったり、驚かせたりで、楽しませるようによく練られている。ちょうどお笑いのコントのようだ。始めは情報が多く、何だかわからないことも多いが、黙ってみていると、気づけばこのテンポとノリの虜になっている。主人公のお調子者っぷりや天才っぷりが見ていて、気持ちいい。

ラストシーンで、今までのうるさいくらいの騒々しさとみんな寝ている静けさの対照は、すごくよかった。最後に主人公が走っていくのは、なんだか面白くないこと、色々の制約やらなんやら、もっと言えば生きることの苦悩すらから、逃げ切ってみせると言っているようで、いかにもコメディという清々しさがあった。川島雄三は、主人公が映画のセットを飛び出し、現代の東京へ入り込んでしまうというラストを想定していたようなのだが、個人的にはそっちの方が面白いかもと思ってしまった。その方が、冒頭の現代の品川の部分も活きてくるし。とにかく、名作である理由は理解できた。面白かった。