宇宙のことが心配です

好きに色んなことを書きます。日記が中心です。本、映画、漫画、アニメなどで暇を潰す事が多いので、その手の感想も書くかもしれません。

小説「われらの狂気を生き延びる道を教えよ」を読んだ

ネタバレなし

大江健三郎の小説の中では一番文章が好みだった。大江健三郎は、時々、かなり読みにくい文章を書く。(ひどいときは文章になっていない)初期作品は平易だったのだが、後期のものになるにつれて段々と読みにくくなっている。しかし、この作品の文章は平易と難解の真ん中くらいで、バランスが取れていたと思う。大江健三郎のこだわりが出つつ、それほど文章がおかしいということもなかった。大江健三郎の文章には独特の味わいがあって、それがいつしか好きになっていたのだが、この作品では、その味がしっかり堪能できた。

 

ただ、文章は好みだったが、決して速読できる類の文章ではなかった。なので、ゆっくり読む必要はあった。テーマも結構難解で、物語から何が言いたいのかなどと考えてしまうと、わけがわからなくなる。しかし、そういうことを考えないで、物語を純粋に楽しむ姿勢で読めば、話自体はかなり面白い。本当にどういう脳みそしてたらこんなものが書けるのだろうといつものように感心する。