自作詩「行進」
ぴーひゃら、ぴーひゃら
笛の音、鳴らしながら、行進が過ぎてゆく。
たくさんの手や足や耳や口や目たち、
他にも色んな体の部位たちが、
みんなで、ぞろぞろ行進してゆく。
「どこへゆくんだい」
私は、口の一つに聞いてみる。
「地獄さ」
その口は答える。
私は、笑った。
「私もついていこうかな」
口は、口をすぼめた。
「ぜひぜひ、一緒に行きましょう」
私は、行進に加わった。
笛の音と共に、行進した。
後ろから、別の口が、話しかけてきた。
「あんたは、相当な地獄へ行けるぜ。
だって、あんたには、手も足も口も目ん玉も、
何しろ、全部、あるんだからね」
私は、また笑った。
「そりゃいい。おい。笛を貸してくれ」
私は、隣にいた手から、笛を奪い取り、
ぴーひゃらぴーひゃら、踊りながら、笛を吹いた。
私のせいか、行進は、より一層、
格調高くなったような気がした。
私は、誇らしかった。
行進は続く。
私は、体の全部で、
なるたけ騒がしくしながら、
歩いてゆくのだ。