宇宙のことが心配です

好きに色んなことを書きます。日記が中心です。本、映画、漫画、アニメなどで暇を潰す事が多いので、その手の感想も書くかもしれません。

黒澤明の乱を見た。

昔も見ようとしたのだが

実は昔も見ようとした。けど、その時は開始30分くらいで、見る気が無くなり、止めた。黒澤明の映画って、悪く言えば堅苦しくもあるから、そういうものを見てやろうという気概がないと、実は結構眠くなったりする。生きるとか赤ひげとか特にそう。長いし。だから、個人的には黒澤明の映画はエンターテイメント系がバランスがちょうど良くて、好きなのだ。昔見た時は、どうも見るスタンスが取れてなかったようだ。今、見ると結構入ってゆけた。

ちょっと抵抗がある点

昔、見た時に抵抗を感じたことがある。それは、衣装が明るいことだ。戦国時代?ってこんなきらびやかな衣装を着てるの?そういう疑問がわき、リアリティが無いように感じた。今回改めて、乱を見ても、同じように感じた。

全体的に違和感がある

気になるのは衣装だけではない。というか、衣装は、違和感の一部に過ぎない。どうもこの映画にはリアリティの面からすると変に感じる部分がある。それは細部の問題ではない。合戦の迫力とかは、本当にリアリティがある。城が燃えるところとか、俳優の演技も相当すごい。そうではなくて、根本的なことなのだ。それは、おそらくこの映画がリア王などの原作を下敷きにして作られているということに起因していると思う。それらの原作を日本に置き換えている分だけ、どうしても違和感があるのだ。そこにやはり無理があるんじゃないだろうか。だから、結局、どんなに細部がリアルでも、戦国時代ってこんなんじゃないだろうっていう違和感はずっとある。

もう一つのどうでもいい思い込み

あともう一つ、昔この映画を見て、つまらないと思った理由がある。これは、もはや、今思えばどうでもいい思い込みなのだが、それは、なんか白黒映画の方がよくねえ?というもの。どうも僕には白黒映画には何か不思議な力があるような気がする。僕には、黒澤明しかり小津安二郎しかり、色が付いてしまうと何か物足りない感じがするのだ。何故かは分からない。普通に考えれば、色がついた方がいいような気がするのだが。

しかし、まあ、そんなわけで、僕には色が付くとあんまり良くないという固定観念があって、それで、この映画をはなからはねつけていたのだ。なので、今回この映画を見て、反省した。あんまりそこにこだわるのも変な話だと。

半分、演劇みたいなもん

七人の侍なんかは、とことんリアリティがある。勿論、創作だけど、それを感じさせることはない。だけど、この映画は前述のような違和感は少しある。それで、途中で気付いたのは、この映画半分演劇みたいなもんだなということ。いわゆるミュージカルとかそんな類いの要素を持っているということ。この映画がそういう系統にあるのだと思ったら、違和感はどうでもよくなった。リアリティは勿論追求しているけど、リアリズム映画とは少し違うのだ。

始まり方かっこよすぎ

映画は、なんか知らんが、狩りの場面から始まる。馬に乗った武士みたいのが、ひたすら、草原の中でじっと佇んで、周囲に目を凝らしている。この始まり方がかっこよすぎた。何かが始まる前触れの静けさとでもいうのだろうか。しかし、あんな草原、日本のどこにあるんだろうか。

やたら空を映すが、それが良い

この映画では、やたら空が映る。といっても、最初の狩りの場面で多いというだけだが。でも、この空の映像はかなり良かった。多分、生の色ではなく、何か映像に加工がされていると思うのだが、その色合いがまたなんとも言えない色合いで、何かこの物語に寄り添いつつ、意味ありげな雰囲気を醸している。人によって色々な解釈がてきそうな感じ。僕は夏の入道雲の感じはとても好きなので、狩りのシーンでは映像に見入ってしまった。

道化

この映画には、道化が出てくる。見ている時は、この役が何なのかすら分からなかった。後から調べて、分かった次第。大殿様を時に咎める役どころらしい。道化に関しても、前述のリアリティについての違和感の話が持ち上がってくるのだが、まあもうそれは良しとする。

道化の存在が重要なのは何となく分かるのだが、終始変な感じがした。ピーターさんのあの感じはなんだろうか。映画に合ってるのだろうか。よく分からない。なんとも言えない。道化が芸らしきものをしているシーンもあるのだが、これはもう全く笑いどころが分からなかったし。また、大殿様との掛け合いで少しコメディらしい要素を感じもしたのだが、話はあまりに真面目な雰囲気なので、それも笑いどころなのか何なのか良く分からなかった。

やっぱりすごい

まあ、色々気になるところはあったのだが、やっぱりすごいというのが最終的な感想。前述の気になるところより、すごいところの方がはるかに多かった。それらはもう書くとキリが無いので、書く気にならない。それに、すごいところはすごいとしか書けなくて、小学生みたいな感じになるので。こんな本格的な映画を日本で撮っていたというのは、ほんとにすごいことだなあと改めて思った次第。