宇宙のことが心配です

好きに色んなことを書きます。日記が中心です。本、映画、漫画、アニメなどで暇を潰す事が多いので、その手の感想も書くかもしれません。

「銀の匙」読了

 「銀の匙」を読み終えた。相変わらず集中できるところとそうでないところがあって、全体的にはあまり頭に入ってこなかった。どうもエッセイのような文章が続いていくと、退屈になってしまうようだ。それに文章がきれいで軽やかなのが自分には向いていなかったかなと思う。何故か頭に入ってこなかった。逆に印象に残ったのは後編の始めのところ。主人公の先生に対する態度が特徴的だ。他の生徒は先生が癇癪交じりに怒り出せばびびって静かになってしまうが、主人公は平気で笑っている。ある日、校長が主人公に「先生が怖くないか」と聞くと、主人公は「いいえ、ちっとも」と答える。何故かと聞かれると主人公は「先生だってやっぱり人間だと思うから」と答える。これは主人公の道徳観が優れているということだと思う。主人公は大人の嘘に敏感で、他にも先生に対して素朴な疑問をぶつけたりする。それはどれも正しい難しい疑問で、先生も適当にごまかすしかできない。こういうところを読むと、主人公がはみ出し者で面倒なタイプの人間というのがよくわかる。同時に、感受性が高くて、苦悩の多い人生を送っている事も伝わってくる。主人公は「日本は戦争に負けると思う」なんてことまでみんなに言ってしまう。この場面はちょっと驚いた。戦時中にそんなことを言って大丈夫なのだろうか。とにかく、わたしには主人公の感情的だけど芯の強いその性格が印象的に思えた。わたしは怒られる恐怖がかなり強いタイプで、子供の頃、先生がかなり苦手だった。だから主人公のように先生を一人の人間だと捉えられることは素直に感心した。それと、この主人公は結構楽観的だ。そこも良いなと思った。主人公が度々自惚れに陥って反省するのはユーモラスで面白かった。主人公は憂鬱症だという記述が一度だけ出てくるあたり、暗い性質をもっているのが分かるが、小説は基本的に軽やかな雰囲気だ。筆者の楽観的なところが出ているのだろう。最後に、多感な主人公と周囲の人間との関わりが、心象風景を交えて等身大で描かれているのがよかった。特に人との別れのシーンはどれもよかった。先の先生もある日戦争に行ってしまうがそのシーンには感じ入るものがある。それでいてさらっと短く描かれているのも良いなと思う。あと完全にどうでもいいが、遠山っていう言葉いいなと思った。

 あと他に今日したことと言えば6本のアニメを一話ずつ見た。このアニメを見るのと読書は自分の仕事だと思うことにした。最近思うのだが、楽しいというのには意志の力が関わっている。気持ちだけではなく、何かを楽しもうという気概がなければ楽しくはなれないのだ。楽しいという気持ちだけを理由として行動していると、段々楽しめなくなってくる。楽しい事より苦しい事の方が多いのが普通だからだ。だから苦しいときには意志の力でもって、楽しいを生み出さなくてはいけない。わたしの場合、虚無に陥りがちだから、なおさら何かを楽しもうと思わなくてはいけない。だから、アニメを見たいという気持ちはないが、仕事をするくらいの意識で、見ていくのだ。

 あと、クラロワは消した。以前から、負けが続く時に激しい無力感があるので、何度もやめようと思っていたのだ。無力感があって苦しいのにクラロワをプレイしてしまう自分への激しい絶望もあった。今までなんだかんだやめずにいたが、もう止めた。昔、スプラトゥーン2をやめたのと同じことだ。ある日、わたしはスプラトゥーン2にあまりに苛々して、ゲーム機本体を破壊したのだ。当時は仕事のストレスも結構あったから、そういうことをしてしまったのだったと思う。壊す瞬間は、「これを壊さない限り、俺はこのゲームを止めることができない」という絶望感があった。今回、クラロワを止めて、教訓として、この手の面白いがゆえに悔しさも半端ではないゲームは、もはや楽しくないと考えることにした。自分のように感情の激しい不安定な人間は、それゆえにこういう快楽に縛られがちだが、それでは苦しくなるばかりだ。わたしはもうそういうものとは縁を切る。もう二度とこの手の感情を強く揺さぶられるものには手を出さない。

 6本のアニメは義務的に見たけど、結構面白い。やはり真面目に見るというのは大事だ。真面目に集中して見るということも楽しさの要因の一つだ。6本のアニメ以外にも「N・H・Kにようこそ」も見た。こっちは義務ではなく、一度見ているので何か別の作業をしながら適当に見た。なんかこのアニメは見ていると落ち着く。作品に流れている哀愁が自分にはちょうどいい感じなのだ。作品を見て改めて思ったのは、この主人公は引きこもりの中でも結構何とかなる方のタイプということだ。人に当たり散らしたりしないし、なんだかんだ山崎とか岬ちゃんとは話せているわけだし。常識的な社交の感覚は持っているのだ。最終的に飢えの恐怖から仕事を始められるのも納得がいく。この主人公は自殺するタイプではない。